性能にこだわった住宅において、重視したいもののひとつが「断熱性」。断熱性を高めるためには様々な方法がありますが、一般的に必ず使用されるのが「断熱材」です。断熱材には幅広い種類があり、それぞれにコストや素材が異なります。そこで今回は、代表的な断熱材について詳しくまとめてみました。
まず、断熱材は素材によって「無機繊維系」と「木質繊維系」、そして「発泡プラスチック系」、「天然素材系」という4つの種類があります。代表的な断熱材も含め、それぞれの特徴を見てみましょう。
鉱物等を原料とし、細かい繊維の中に空気を閉じ込めることで断熱材として機能する無機繊維系。布団のような材質が特徴で、施工や取扱も比較的簡単。コストも比較的低いため、一般的にも流通している断熱材だと言われています。
グラスウール |
・燃えにくく、音をよく吸う ・入手や取り扱いが容易で、コストも低め ・外注対策になる 注意:防湿対策が必要 |
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ロックウール | ・グラスウールとほぼ同じ特性に加え、より軽いのが特徴 |
こちらは木片のような天然素材を圧縮して作る断熱材で、湿気対策や防音対策に優れているのが特徴。自然粗材にこだわって家づくりを行いたい方にもおすすめだと言えます。ただし、コストで言えば無機繊維系よりは高めの傾向です。
セルロースファイバー |
・防音性に優れている ・高い調湿効果を誇り、ジメジメを防げる ・天然素材由来 注意:重量があり、コストが高め |
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インシュレーションボード | ・セルロースファイバーとほぼ同じ性能を持つが、シロアリにやや弱い |
古紙や段ボール、新聞、おがくずなどからできているセルロースファイバーに比べ、木材を細かく砕いて加工したインシュレードボードは木ならではの良さが出るものの、ホウ酸等のシロアリ対策がされていないという注意点も。
発泡プラスチック系はその名の通りプラスチック素材を用いているのが特徴で、種類が多い(5つ)断熱材です。プラスチックの中に細かい泡を閉じ込め、その中にガスや空気を吸収することで熱を伝わりにくくしているのですね。これは同じグループでも選択肢によってかなり性質が変わってくるので、家づくりの際はよく確認の上、目的に合ったものを検討しましょう。
ポリエチレンフォーム |
・水に強く、吸音効果も期待できる ・取り扱いが比較的簡単 注意:比較的熱に弱い |
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ビーズ法ポリスチレンフォーム |
・耐久性・耐水性に優れている ・重量が軽く取り扱いやすい 注意:比較的熱に弱い |
押出法ポリスチレンフォーム |
・耐湿性が高く、重量も軽い ・取り扱いが比較的簡単 注意:熱と衝撃に比較的弱い |
硬質ウレタンフォーム |
・耐久性と断熱性に優れている ・高い吸音性も期待できる ・経年劣化が少ない 注意:シロアリに比較的弱く、燃えると有毒ガスが発生 |
フェノールフォーム |
・水と熱に強い ・経年劣化しにくい 注意:シロアリに比較的弱く、コストが高め |
最後に、自然由来の断熱材が天然素材系。湿気を吸収して室内環境を調整する力に優れ、健康住宅等で採用されるケースが多いと言われています。取り扱っている工務店が限られる傾向があるため、希望する方は一度確認してみてください。羊毛は文字通りですが、炭化コルクはコルクボードやワインの栓に使用されるコルクを炭化加工して作るもので、中には接着剤不使用のものもあります。
羊毛(ウールブレス) |
・防虫効果が高い ・調湿機能に優れている 注意:取り扱っている会社(工務店)が限られる |
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炭化コルク |
・調湿効果に優れている ・防虫・吸音効果が高い 注意:取り扱っている会社(工務店)が限られ、コストが高め |
コスト面で言えば、一般的には「セルロースファイバー」や「フェノールフォーム」、「炭化コルク」などが高額になりやすいようです。しかし、その分天然素材ならではの魅力があったり、水や熱に強かったりとメリットも大きいですから、予算とも照らし合わせながらよく考えることが大切と言えるでしょう。
ちなみに、選定基準としてポピュラーなのが「有害物質の出にくさ」や「火災に強いかどうか」。とはいえ住むエリアによっても重視されるポイントは異なるため、取り扱っている素材についても確認しつつ、工務店やハウスメーカーと相談した上で後悔のない選択ができるといいですね。
上記の断熱材は、どのような工法を用いるかによっても適した素材が変わるのが特徴。一般的に「外断熱(外張り断熱)」と「内断熱(充填断熱)」、「付加断熱(外断熱+内断熱)」があり、断熱材ごとに採用されやすい工法は以下の通りです。