換気といえば換気扇を付けたり、窓を開けて空気を入れ替えたり…というイメージですが、近年の高性能住宅では更なる画期的なシステムが搭載されていることが多いようです。しかし、一体なぜ換気が重視されるのでしょうか？その理由もふまえ、近年の換気システムについて見ていきましょう。
そもそもなぜ換気が重要なのか？というと、住宅に対する悪影響はもちろん、住む人の健康を脅かす危険性があるから。室内の空気がうまく循環しないと酸素が足りなくなり、結果的に疲れやすくなったり、眠気や肩こり、集中力低下、代謝の悪化などを引き起こす恐れがあるのです。
二酸化炭素の濃度が高まると、最悪頭痛やめまい、吐き気といった重篤な症状のリスクも生まれますから、適度に換気を行って綺麗な空気を室内に取り込む必要があります。
その他にもホコリをはじめとする有害物質を部屋の外に出したり、汚れた空気や悪臭が部屋の中にいつまでも留まるのを防止したりといった効果がありますから、マイホームを建てる時にはぜひ換気にもこだわりたいですね。
換気性能に優れた住宅を建てる上で、大切なのが「高気密」。気密性が高いと逆に空気が閉じこもるのでは？と思う方もいるかもしれませんが、実際には気密性が高くなければ十分な換気が難しいと言われています。
なぜかといえば、気密性が低いと空気がすき間から漏れるので、エアコンや床暖房によって調整したはずの部屋の空気が外へ出て行ってしまうのです。
高気密住宅は空気がこもりやすいのは確か。そこで重要なのが、効率よく空気を循環可能な「換気システム」だと言えるでしょう。
近年（2003年の建築基準法改正による）、住宅では「24時間換気システム」が必須となっています。これは強制的に室内の空気を入れ替えられる設備のことで、1時間あたりの室内の半分を目安に循環できるのが特徴。つまり、2時間で室内全体の空気がほぼ入れ替わる、というわけですね。
これは換気方法により3種類に分けられ、それぞれ以下のようなメリットがあります。
換気扇（機械）を用いて空気の排出と取り入れを行う方法で、ダクトから各部屋に空気を吸い込み、屋内の空気を通じて外に排出するのが一般的。給気と排気の風量を均等にすることが条件となり、空気の流れを制御しやすく、安定的に換気できるのが魅力と言われています。
| メリット | 空気の流れを制御しやすい／熱交換システムを追加すれば、外気の影響を受けにくくなる |
|---|---|
| 注意点 | 導入やメンテナンスに費用がかかる／高い気密性が求められる |
続いて、第2種換気システムは室内に空気を取り入れる際にのみ換気扇（機械）を使用する方法。空気は換気口から自然と押し出される仕組みとなっているのが特徴です。汚染物質や細菌などの侵入を防ぐのにも適していると言われますが、一般の住宅で採用されることはほとんどないようなので、基本的には第1種か第3種になる、と覚えておくと良いかもしれません。
| メリット | 細菌や汚染物質の侵入も防げる |
|---|---|
| 注意点 |
高い気密性がなければ成立せず、一般の住宅にはほぼ採用されない |
最後に、第3種換気システムは「室外に室内の空気を換気扇等の機器を使って吐き出し、室内に設置された自然換気口等からその差圧で外の空気を取り入れる」方法を言います。
常に空気が外に吐き出されるのが特徴で、3種の中でもコストがかからないのが魅力。ただし、外気温の影響を受けやすい側面もありますから、注意しておきましょう。
| メリット | 導入コストが低い |
|---|---|
| デメリット |
外の空気を取り込むことから、外気温の影響を受けやすい |
このように、換気システムは基本的に「第1種」か「第3種」から選ぶことになるのが一般的。性能面で言えば第1種換気システムの方が優れていると言えますが、逆に第3種換気システムは費用が良心的、というメリットがありますから、家を建てる際には目的に合わせて検討してみてくださいね。
2003年以降、住宅には24時間換気システムが求められるようになりましたが、これは基本的に「計画換気」の理念に基づいています。計画換気とは、換気扇等の機器によって住宅の中の空気の流れを計画的にコントロールすることです。
空気の流れが分かりやすくなると、必要な空気を効果的に取り入れ、汚れた空気を適切に排出可能に。どの部屋にも新鮮で綺麗な空気を送れるようになりますから、シックハウス症候群等のリスクを抑えられるのはもちろん、エアコンの効率アップにより光熱費の削減も期待できるでしょう。
特に省エネ性能にこだわった高性能住宅では、こだわりの換気システムが使用されています。注文住宅を検討する際には、ぜひどのような工夫がなされているか確認してみてはいかがでしょうか。